2015年12月11日
おみおくりの作法
「おみおくりの作法」
TSUTAYA DVD
年末に心にしみる一本に出会う事がある。
「おみおくりの作法」は一生残りそうな映画だ。
主人公のジョン・メイさんは民生委員で、
孤独死してしまった人の家族を探して、
葬儀に参加するように説得したり、
時には故郷に遺灰を送ったり、
遺品を渡したりという地味な仕事を、
一人でコツコツこなしている。
その丁寧な仕事ぶりが淡々と描かれる。
しかし、孤独死なので、
多くは身寄りがなかったり、
いても長年断絶していて、
どんなに説得しても家族は葬儀に参加してくれない。
いつも参列者はメイさん一人だ。
メイさんが音楽を選び、
神父や牧師の読み上げるスピーチを書き、見送る。
スピーチを書くために、その人が暮らした部屋で、
資料になりそうなもの(主に書類や写真)を探すのは、
探偵のような作業だ。
そんな彼が解雇を通告された、、、。
取りかかりはじめた最後の仕事に今までどおり丁寧に取り組む。
その丁寧さが彼の解雇の理由になるという昨今の行政を思わせるのも
悲しい、、、。
最後の人は波瀾万丈を生きた人で、
その僅かな手がかりから、
その人の足あとをたどっていくのは、
刑事ドラマの趣さえあった。
メイさんとは正反対のその人の事を追ううちに、
メイさんが変わっていくのは面白かった。
メイさんは死者ばかりと付き合っているだけあって、
ホントに地味で静かで、いるかいないか分からない人だ。
家族はいないし、友達もいないようだ。
そんなメイさんがイキイキしだす様は、
見ていて嬉しかった。
人が開放されるということなんだろう。
で、このまま語りまくってはいけない、いけない。
イギリス映画はすごいオチを付けてくれたので、
最後の最後に号泣してしまった。
思い出しても泣けてくる。
誰もが孤独死の可能性を否定しきれない現代、
メイさんがいてくれたら、救われると思う。
悲しくも心にしみる一本です。
こねねこ
Posted by ネコとウソ at 22:41│Comments(0)
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