2017年09月06日
虞美人草 夏目漱石
虞美人草
夏 目 漱 石
角川文庫
十四五年前か。
本屋で立ち読みをしていると、
ページをめくる背後で、
通り過ぎるカップルの声がする。
「字だけの本って頭痛くなっちゃう~」
と女が言った。
その流麗なナイチャームニィーに恍惚とするも、
それってポッテカスーってことかしらとも思う。
でも七難隠していた。
がしかし、
ビデオレンタルショップに入るや否や、
店内に走り散る子供達に向かって、
「勉強のしか買わんよぉー」と、
声を張り上げるオカーと
何が違うというのだろう。
さて、
情景描写に戸惑いと、
自らの素養のなさを痛感するも、
その会話には今と変わらないどころか、
既にそのような表現は漱石で、
終わってたんだなと思う。
して、
「虞美人草」より以下引用する。
甲野さんが父の遺影の肖像画を見ている行で、
「見下ろすだけあって活きている。
眼玉に締りがある。
それもたんねんに塗りたくって、
根気任せに練り上げた眼玉ではない。
一刷毛に輪郭を描いて、
眉と睫の間に自然の影ができる。
下瞼の垂る味が見える。
取る年が集まって眼尻を引っ張る波足が浮く。
そのなかに瞳が生きている。
動かないでしかも活きている刹那の表情を、
そのまま画布に落とした手腕は、
会心の機を早速(さそく)に捕らえた
非凡の技といわねばならぬ。」
(P282)
これは絵画教室で使えるぞ!
ホホホホ、、、。
カワウソ
Posted by ネコとウソ at 23:38│Comments(0)
│本 雑誌
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。