慰霊の島の風景6 山城知佳子

ネコとウソ

2008年06月23日 22:03

 
 「慰霊の島の風景6 山城知佳子」沖縄タイムス朝刊

           2008.6.23


 写真が目に止まる。軽い戦慄を覚えた。

一瞬、複数の男性に襲われる女性に見えたからだ。

それはしかし、にわかに何人かの老人に

顔を包まれている状況だとわかった。

 画面左から出てきた手が彼女の顎を掴み、

うつむいた顔を無理やり振り向かせようと

しているように見えたのが、

私の暴力を呼んだのだ。

 内在する暴力を、

いわば愛の形で現出させているように見える

このような作品が身近にも出て来た事に感慨する。

 どこかで見たような気がしたのは暴力のそれであって、

お婆さんたちの慈しみを見間違える

私の男性性が曝け出されたのだ。

 そして作者が女性だからこそ

ここまでリアルに表現出来たのではないかと

氏の別の作品からもうかがわれる。

それは女性の賢しらではない(注1)ところの

生理的意識(注2)が

高揚したときに現れる事によって作品化出来る

ものなのではないだろうかと思った。

そして、それが情緒に流されないのは

作家の「私にはわからないことはわからないという

事実は変わらない、ということがわかった」

という言葉に表れていると思う。

 この新聞特集の他の写真家の作品が、

直接戦争をモチーフに平和を希求するのと違い、

戦争そのものを語らなくとも愛(スキンシップ)を

伝えることで平和を構築しているところに、

アーティストとしての表現を感じる。


注1、作品に流れるスキンシップ(SEX)

注2、我々が忘れかけているSEX(スキンシップ)を彼女は持っている


  山城知佳子展は7月にギャラリー「ラファィエット」で開催予定です。

    詳しくは「お気に入り」より「ラファィエット」までどうぞ、、、、。





                

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