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2008年10月26日

ロリータ

ロリータ



         ロリータ

     ウラジーミル・ナボコフ

         新潮文庫

        若島 正 訳


 読みたいと思っていたが50も過ぎて、

妻を切っ掛けに552ページ

(全623ぺージ)を読むことにした。

明らかになったのは妻の読書欲無くして私も無いことでした。

 危うく468ページで挫折しそうになり、

大江健三郎の前(解説)に跪こうとも思ったが、

ティーンエージャーの頃に出会った氏を思い出し、

その頃の根性?でなんとか読み切ったというのが実状である。

残念ながら私は「野心的で勤勉な小説家志望の若者、、、」

では無かったのである、、、、。

 でっ、訳者のいう

「淫らな少女愛を綴ったエロティックな小説を期待、、、」や

「ポストモダンの先駆け、、、」

あるいは「絢爛たる言語遊戯こそがこの小説の、、、」

など選べるが、私は

 「アメリカを壮大なパノラマとして描いた

    ロード・ノヴェルだと読む人もいるかもしれない。」

ということになった。

 なにしろ「絢爛たる言語遊戯」でもあるからして、

フランス語、及び他の外国語もまったく知らない、

さらに文学的素養の低い私としては、

くらべれば絵画には明るい者として

「ニンフェット」をイメージできる範囲においての

理解となる。

 ナボコフの書くアメリカは

昨今のアメリカロードムービーを好む者として

(私が思っているアメリカロードムービーは、延々続く

荒野のような大地とモーテル、あまり人がいなくて

道ばかりがまっすぐ続き、その先に人生の成就や、

人格の形成など無く、たぶんそのまま続くだろうと

解決の無いまま進む物語の事である。)

シニカルで、とても楽しく、

すでに1955年には語りつくされていたのか

と思うほどである。

未来は過去で十分なのだろうか、、、。



 「小説修業」(小島信夫、保坂和志)中公文庫

          より

「<現在>というのが、<過去の結果>として

存在しているのだと感じるなら、

現在はそのまま過去の中にある事になります。

現在の自分が過去の父親や家庭との関係や民族の

思考様式にがんじがらめにされているのだとしたら、

現在と過去は何も違わないことになります。

そう感じてしまったら、

未来も可能性を奪われていまここにある現在の中に

氷ついてすでに存在していることになります。」p110


      そうでは無いようなので、、、、

 ニンフェットへの愛は

成就されないことでしか成り立ちえないか、

あるいは成就の内に腐っていくのかは言えないが、

いや、うまく言えないのであるが、、、

(うまく言えないのは分かってない証拠、、、)

 絵画がその空間で縺れ合う内に垣間見せる

リアリティのようなものに、言葉も紡ぎ出されていけば

小説という空間が建ち現われるということか。

 それにしてもこの爆発的語彙にどうしろと、、、。

言葉の海が、ニンフェット(切っ掛け)との

やり取りのなかで、楽しくあればよいのだろうか、、、、。



 「人は小説を読むことはできない。

     ただ再読する事が出来るだけだ」(ナボコフ)

という言葉に、小説もまた絵解き(あらすじ)などではない

空間の進行にこそ、存在があるという事でしょうか。


       くたびれったッビー、、、、、。


  ということで言うまでもなく秋のお勧めということで。

      DVDも2本あり、ひとつは監督が、
  
       スタンリー・キューブリックです。

      映画についてはいずれ話しましょう。


           獺

    「少女性愛」のイメージのおかげで

     タイトルは誰でも知っているし、

  その誤解(違うのかい)と一般化(流行り)で

    皆「ロリータ」「ロリコン」なのであるが、

     大元はやはり下手な空想を完全に裏切る。

      昨今「人生が分かってしまった」と

         うそぶく若い人に、

  これに限らず小説をぜひ読んで欲しいと思う。

       念のために言えば小説は

     人生訓では全くないという事だ。

 






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