神隠し
買い物から戻ると、ミケの姿がない。
呼んでみるが返事はない。
縞田くんとクリちゃんとジョセフィーヌに聞いたが、
もちろん答えはない。
家の中をあちこち探してみた。
棚の上の籠や隠れていそうな場所を、
名前を呼びつつ探すが見つからない。
「まさか外に出てないよね」と言いつつ、
家の周りも見て、
寝室も探し、台所の棚も一々開けて探し、
冷蔵庫の中までのぞき、
だんだん不安になり、
「縞田、食っちまったのかい」と聞いてみた。
やたら「ミケ」を連呼するので、
終いには縞田君まで不安げな顔になった。
仕方なくお昼にして、
「絶対家の中だし、飽きたら出てくるんだから」と、
自分に言い聞かせ、知らん振りしてたら、
ひょっこり出てきた。
「どこに隠れていたの?」と聞いてみたが、
勿論答えるわけはない。
どこに隠れていたのか分からずじまいで、
こんな事が前にもあったと思い出す。
目と鼻の先にいるのに、
気配をすっかり消すので分からなかった。
そういう時の猫は呼んでも返事しないときまっている。
それは神隠しだと思う。
人の目が節穴という以上に、
その時の猫は違う世界に行っているのではないかと、
そんな風に思う。
こねねこ
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